大阪府 医薬品ネット販売で府下の薬局を刑事告発(ドラッグトピックス)

2011/04/30


 医療用医薬品や第1類薬を販売
 OTC医薬品のインターネット通販規制をめぐる控訴審が進む中、大阪府は4月19日、医療用医薬品や第1類医薬品をWebサイトで販売していた三牧ファミリー薬局(大阪府枚方市)の開設者の光漢堂(同、三牧剛太郎社長)を薬事法違反容疑で大阪府枚方警察署に告発したと発表した。
 改定薬事法が施行された2009年6月以降、刑事告発は全国で初めての事例となる。
 府健康医療部薬務課によると、三牧社長はネットを通じて薬剤師の対面販売が必要な第1類医薬品および医療用医薬品を販売していた。府薬務課は2009年12月と2010年7月の2回にわたって改善命令を出したが、三牧社長はこれに従わず販売を継続している。
 同薬局は、10数年前からネット通販を手掛けており、現在も登録会員に対して処方箋薬以外の医療用医薬品、第1類医薬品の購入を受け付けるサイトを開いている。三牧社長は薬剤師資格を有している。
 告発に踏み切った理由について府薬務課医薬品流通グループの担当者は「指導を重ねたが受け入れられず、店舗を閉めさせてもネット活動を続けられると意味がないため、司法判断に委ねた」と説明している。

 日薬・児玉会長 再発防止に向け指導強化
 今回の刑事告発とこれより先に兵庫県の薬局が薬剤師不在のまま事務員に調剤を行わせ18日間の業務停止処分を受けたことで、日本薬剤師会は4月21日、都道府県薬剤師会の会長あてに見解を表明した。
 この中で日薬は「今回の事例では薬剤師自らが法を守らないばかりか、再三の指導にも従わなかった、あるいは資格を持たぬ者による業務の実施を看過するなど、およそ患者・国民の安全を蔑にする、薬剤師の倫理に照らしても到底許されるべき行為ではない」と厳しく指弾し、「単なる薬事法違反にとどまらず、国民・患者が医薬品の取り扱いを『薬剤師に任せる』ことによって『医薬品の安全な使用が可能となる』という期待を大きく裏切る行為であり、すべての薬剤師への信頼と信用を失墜させるもの」との認識を示している。
 その上で「今後こうした不法行為が二度と惹起せぬよう、会員・非会員に関わらず、広く調剤・医薬品販売業務に従事する薬剤師に対して、改正薬事法の趣旨の周知徹底を図るとともに、再発防止へ向けてさらなる指導を行い、医薬品の安全・安心な使用と適正使用の確保に向けて努力する所存」としている。
 刑事告発ならびに処分を受けた両薬局とも、開設者と管理薬剤師は日薬の会員。

 (ドラッグトピックス2011年5月2日・9日合併号)


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