「良き時代の終焉」で本格化する調剤薬局・DgSのM&A(ドラッグトピックス)

2014/09/27


 急増する調剤薬局のオーナーチェンジ
 「中堅薬局チェーン譲渡の時代が来た!」――群雄割拠していたドラッグストア(DgS)の経営統合がほぼ終了した現在、セカンドステージとして調剤薬局チェーンをめぐるM&A(企業の合併と買収)の動きが活発化している。M&Aを仲介する東証1部上場企業「日本M&Aセンター」(本社東京都)主催の「調剤薬局オーナーのためのM&Aセミナー」では、加速する業界再編の流れがつぶさに報告された。調剤報酬に立脚した「良き時代の終焉」の先に企業存続の新しい形が垣間見える。
 膨らむ大手調剤薬局グループのM&A準備費
 セミナー当日、講師を務めた日本M&Aセンター調剤薬局業界再編室室長の渡部恒郎氏は「全ての業界において途中で再編が止まった例はない」と前置き、大手調剤薬局の動きを注視する。
 近隣業界の企業シェアが医薬品卸=上位4社で約90%、DgS=上位10社で約50%と寡占化されているのに対し、調剤薬局は上位10社で約11%しかない。トータル・メディカルサービスとメディカルシステムネットワークのTOBをまとめるなど調剤薬局M&Aの第一人者と目される渡部氏は、成長期から成熟期へと入った調剤薬局上位7社のM&A総額が、2014年度計画で280億円(対前年度21・7%増)に膨らんでいることや大手4社だけで年間約170店舗もの買収が行われ、いずれもM&Aによる店舗数が新規出店を上回る状況を示し「再編のビッグウエーブが起きている」と訴えた。
 業界再編が避けられない背景として渡部氏は、調剤件数ならびに処方箋枚数の伸び率鈍化の他、薬価差益の縮小や診療報酬の抑制に向かう医療費削減政策、消費増税への懸念、薬剤師不足・後継者難に伴う人件費の高騰などを指摘。「1〜2店舗クラスの譲渡株価はピークアウトに差し掛かり、3〜30店舗の株価がこれからピークに向かう」と売り手優位の今が譲渡のベストタイミングだと分析する。

 (ドラッグトピックス2014年9月29日号)


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